どんど焼き2026

去年は月刊どんど焼きの連載コラムやテレビ番組Let’sどんどなど、様々などんど焼き界隈のメディアに露出しすぎたせいか少し慌ただしい一年だった。

自分を作り上げてくれたどんど焼きへの恩返しもある程度できただろうし、若い世代への継承も大事だと思うので、今年から大人しくしようと決めていた。

そうだ。

今日は1月7日。
どんど焼きへ行こう。

初心に帰って一人静かにどんど焼き会場へ向かった。

到着するやいなや、小柄な女性が僕の方へ走ってきた。

「突然ごめんなさい。もしかしてどんど焼き2015で優勝された方ですか?」

承認欲求はないけど、ウソをつくのもアレかと思って「そうです」と答えた。

「わー!私ずっとファンだったんです!2015年のでんぐり返し参拝は斬新で感動しました!一緒に参拝してもいいですか?」

「まあいいけど、前ほど上手くはなくなりましたよ。」

「そんなの全然気にしてないです!近くであのどんど焼きを見たいんです。」

…近くで見てもいいかと聞かれたけど異常に近い…

そして正直めちゃくちゃタイプだ…

「わたしも家で毎日素振りして練習しているんですけど、全然上手くならないんです。」

「どんど焼きは上手い下手っていうより気持ちが大事ですよ。」

「そうなんですね。やっぱりプロの方は素敵だなー。」

そう言いながら彼女は僕を見つめていた。

…正直めちゃくちゃタイプだ。

…そうそう、まずはどんど焼きする前にお賽銭を入れるんだった。
千円札に手をかけると、彼女は羨望の眼差しで僕を見つめていた。
僕は千円札を戻し、震える手で1万円札を手に取り賽銭箱に入れてでんぐり返しした。

すると後ろから「おーい!」という男性の声が。

「あ!やっときた!紹介しますね。カレシのノブくんです!」

…そうなんだよ。

毎年こういうオチなんだよな。

なんで学ばないんだよ。

あの1万円は僕の今月の生活費なんだよ。

給料日までの月末までどうやって千円でやりくりしていくか、燃えさかる炎を見つめながら必死に考えていた。

揺れる炎の向こう側に、彼氏と楽しそうに帰っていく彼女の後ろ姿が見えた。

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