今日も広場で練習。
向こう側でベンチに寝転んでいる人がいたので、自分も同じように寝転んでみた。
ベンチで寝たのなんて何年ぶりだろう。
久々に空を見た気がする。
そよ風が身体を撫でて、スズメがちゅんちゅん鳴いて喜んでいる。
しばらく目を瞑って自然の音に耳を澄ませていると、「ザッザッ…」と聞こえてきた。
だんだんと音が近づいてきた気がするので薄目を開けると、人影が向こうからやってくる。
スーツを着た30代の男性だ。
物凄い形相で僕を見ながらどんどん近づいてくる。
午前中、ちょうどYouTubeで豊田商事刺殺事件を観ていたこともあり、刹那刺されるイメージが頭をよぎり、体を半分起こして身構えると、僕の横スレスレをかすめて向こうへ行った。
こんな広い広場なのに何故わざわざ僕のギリギリを通るんだろう。
もしかしたら就職活動をしてサラリーマンになった世界線の僕が現れて通ったのかもしれない。
一度も就職活動をしなかったことを日本社会に謝り、もう一度目を瞑った。