手術日当日

昨日は午後2時から始まる口腔手術のため、朝からナイーブだった。

とりあえず午前の練習は休んで安静にしておこうと思い、家でトレジャーハンター系YouTuberを見たり、セーコマのおにぎりを食べたりして過ごした。

そして歯医者へ行き、いつもと違う診察台へ。

緊張のあまりチンポジの位置を何度も微調整していたら、いつもと違う手術衣のようなものを着て先生がきた。

まずは麻酔を歯茎に注入。

これがまあまあ痛いんだけど、これまで何度も経験しているため覚悟はできていた。

それから数分後、麻酔が効いてきた段階で口以外を覆う布を被せられ、「それでは始めます」という先生の声が聞こえた。

麻酔で感覚はなく、視界が布で覆われていて全く見えなかったが、何をされているのかが何となくわかった。

まずメスのようなもので歯茎を力いっぱい切られた気がした。

多分インプラントの土台を入れるため、顎の骨を露呈させているんだろう。

その後、「ウィーン」という音の器具が口の中に入り、ゴリゴリという感覚が伝わってきた。

直後脳裏によぎったのは、家庭用の電動ドリル。

おそらくドリルで下顎に穴を開けているんだろう。

痛くはないが、そのゴリゴリという感覚は喩えようがないくらい不気味なもので、非常に恐ろしい。

まるでアウトレイジだ。

その後は違う器具が入って「ガチャッ!ガチャッ!」という音が聞こえてきた。

その時脳裏によぎったのは車のタイヤ交換。

車のタイヤは5個くらいのナットで止められており、それを外す時にラチェットやスパナで外すんだけど、それを口の中でやられている感覚。

これも骨が砕かれているようなパキパキという感覚が伝わってきて恐ろしかった。

おそらくインプラントの土台となるネジ山を入れているんだろう。

その後は糸で縫われているような感覚。

もはや口の中で小学生が図工と生活の授業をしているようなもので、自分はまな板の上の鯉状態。

水辺でスイスイと泳ぐ姿を想像をしていたら、

「はい、これでひとまずインプラントの方は終わりなのでひとまず休憩しましょう」

と言われた。

時計の針を見たら開始から10分くらいしか経っていなかった。

たった10分…

自分の中ではたった10分が永遠にも感じられた。

一息ついたところで再び布を被せられ、次の手術が始まった。

一本奥の歯を引っこ抜いて、病巣を取り除き、再び歯を戻すというレアな手術。

先生がありったけのパワーで僕の歯をペンチで抜いている感覚を感じた。

閻魔様が罪人の舌を引っこ抜いている様が頭をよぎり、「ひぃー!お許しをー!」と声なき声で叫んだ。

しばらくして5分ほどの静寂。

かすかに何かを研磨しているような音が聞こえてくる。

たぶん抜いた歯の根っこを削っているんだろう。

そして今度は抜いた歯を戻す作業。

これが痛いというか疼くというか、何とも言えないイヤな感覚があった。

そして入れた歯を固定するために再び裁縫作業。

またしばらく鯉モードになり水辺をスイスイ泳いでいたら、視界が眩しくなり診察の椅子をウィーンと起こされた。

「これで無事手術は終わりました。お疲れ様です。痛くありませんでしたか?」

と聞かれ、

「はひ、はひひょーふれした」

と答えた。

1ヶ月前から宣告されていた手術がやっと無事に終わり、安堵のため息をついた。

ふと違う部屋の診察台を見ると、小学生の女の子が歯の矯正器具をつけられていた。

歯並びを直すんだろうか。

待合室に戻ると、大学生のような若い子が座っており、直後に矯正をつけられた女の子も戻ってきた。

受付の人に最初に呼ばれたのは矯正の女の子の母親。

「今日のお会計は30万ウン千円です」

と聞こえた。

矯正もかなり高いんだなと思っていたら、向かいに座っている大学生が「え!?」という顔

で、受付の方を見上げた。

無理もない。

そりゃあそんな金額を聞いたら焦るだろう。

その直後に僕が呼ばれて

「今日のお会計は67万円です」

と言われ、漢気で一括現金で手渡した。

大学生の様子は見えなかったが、恐らくとんでもない歯医者に来てしまったと思い、冷や汗をかいているんじゃないだろうか。

こんな特殊な会計が重なるのは恐らくかなりレアなケースで、決してボッタクリバーではないので安心してもらいたかった。

車に戻りミラーで歯を見ると、思いっきり金属片が歯の代わりに入っていた。

これで俺も人造人間の仲間入りか、と思った。

何にせよ無事に終わってほんと良かった。

おちまい。

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