雷親父

僕がいつも行く銭湯には、常連の怖いじいさんがいる。

年齢は75歳くらいで、マナーの悪い客がいたら叱るのだ。

こないだは扉を開けっぱなしにして入ってきた高校生を叱っていた。

以前は自分が使う銭湯の洗面器を誰かが持って行こうとして、めちゃくちゃ怒っていた。

僕は数年前に、洗面道具をビニール袋に入れて銭湯に行き、そのビニール袋を放置して風呂を後にしようとしたら、全然違う人がじいさんに「ビニール袋持って帰れ!」と怒鳴られて投げつけられていて、そのまま逃げ帰ったことがある。

昨日銭湯へ行ったら、そのじいさんも来ていた。

僕が体を洗っていると、見かけない謎の男が入ってきた。

小太りの40代くらいの男で、小走りで脱衣所から入ってきたと思ったら、突然湯船にザブーンと浸かり、頭まで潜った。

そして湯船から顔を出したと思ったら、今度は体をグルングルン回し始めて、水面に渦ができ始めた。

おもむろに湯船から出ると、今度は水風呂へ飛び込み、また頭まで浸かった。

そして今度はまた湯船を移動してザブーンと潜った。

僕は小樽水族館のアザラシが入ってきたのかなと思った。

他のお客さんは唖然としていた。

非常に迷惑である。

しかし僕は彼が足りない系男子かと思い、目を合わせると人知を超えたパワーで襲われそうな気がしたので目をそらした。

すると怖いじいさんがその男に近づき、

「おい、ここはみんなが入る風呂だぞ!頭まで浸かったら汚ねぇろうが!」

と思い切り怒鳴った。

怒られてシュンとなり、蚊の鳴くような声で「すんませ〜ん」と言って、脱衣所に戻って行った。

久々にスカッとした。

最近マナー違反の人間にきちんと叱る人が少なくなったと思う。

こういう怖いおじさんのお陰で秩序が守られるのだ。

と同時に、銭湯でじいさんに怒られる40代がいるという時点で世も末だと思った。

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