舞台
今日は春の陽射しに恵まれ、朝食の後しばらく屋根に登って太陽を浴びていた。
屋根といっても厳密には隣人の家の屋根に勝手に登っているのだが。
今年の雪解けはホントに早くて嬉しい限りだ。
と言っても毎年4ヶ月以上雪に埋もれてしまう街。
3月くらいになるとアスファルトの存在を忘れてしまい、ねずみ色の地面が出てくるとコンニャクと勘違いして恐る恐る地面を踏むのが北海道民の風物詩である。
外もあったかいので、ちょくちょく家の外に出てはクラブやボールを投げて満足している。
やっぱりジャグリングは家の中にこもってやるもんじゃなくて屋外でやるものだ。
虫の話になってしまうが、この時期はワラジ虫が大量に家に出てくる。
ワラジ虫は北海道弁なのかな?
ワラジ虫とは、ワラジみたいな虫のことだ。
足いっぱい系の虫が超苦手な僕は、最初ワラジが気持ち悪くてしょうがなかったけど、最近はもう慣れてしまって、今では時々話すことができるようになってきた。
こないだ話したやつが言うには、ワラジ界にも貧富の差があって、富裕層は良質な落ち葉の下に住むことができるのだが、貧乏なワラジは苦手な地上で暮らさなきゃならないのだそうだ。
彼は貧乏らしく、身を守れる民家などに入ってひっそり住むしかないんだと嘆いていた。
そんな彼に少し同情した。
確かに路上に出たらいつ踏み潰されてもおかしくないもんな。
どの世界も裕福なやつもいれば貧乏なやつもいるんだな。
そんなことを思いながら僕はそっとティッシュで彼をつまんで外に投げた。
足がいっぱいある虫が苦手だからだ。