最近僕は同じ話をしていることが多いとよく言われる。
若年性アルツハイマーなんじゃないかと心配されることもあるが、実はそうではないのだ。
僕は話すこと自体に意味があり、話す内容はどうでもいいと思っているのだ。
僕が小さい頃、茶の間で寝転がりながら漫画を読んでいると、うちのばあちゃんと従業員のおばちゃんが昼飯の後に同じ会話をよくしていた。
何度も何度も。
僕は漫画を読みながら、ああ、また前と同じ話をしている、と思いながら聞いていた。
同じ話題と同じ返答。
その時はなんで同じ話をしているのか不思議でしょうがなかったが、今では少しわかる。
会話することに意味があるのだ。
「その話前もしていたよね」
なんて返答はそもそもナンセンスだ。
僕はこれからも同じ話をすると思う。
正直同じ話をしたかどうか覚えていないからだ。
今日は公園で練習をしていると、がっしりとした体型の男子高生が一人僕の前に来た。
「お、沼田くんじゃん!久しぶり!」
というと、
「え!僕のこと覚えててくれたんすか!?嬉しいっす!」
と言って笑顔になった。
本当は全然覚えていなくて、ただジャージに書いてあった名前を読んだだけとは言えない雰囲気だった。