コロナ禍のパフォーマンス

去年の2月頃から蔓延したコロナウイルスにより、これまでとは違ったパフォーマンススタイルを考える必要性が迫られている。

例えばバルーンアートに関して言えば、口で膨らませるなどといった行為はウイルス拡散の観点でNGとなるだろう。

事実、野球場でのジェット風船は今現在禁止となっている。

今後は空気入れのポンプで膨らませるか、又はショーの前に予め膨らませておくことが余儀なくされる。

ショー全般でいうと、いわゆる「客上げ」も難しくなる。

観客の方をステージ上に呼んで、お手伝いをやってもらったり、いじったりするという芸は昨今主流になっていたが、ソーシャルディスタンスの観念から難しくなる可能性がある。

逆に「ソーシャルディスタンス!フゥー!」と言いながら謎の決めポーズをとって、客上げしたお客さんに2m離れてもらうといった、コロナを逆手にとったコロナギャグが生まれるかもしれない。

演者や観客の方々の間隔も、これまでとは大きく変わる。

これまで大道芸人の多くは、如何に観客の方を密にして1人でも多くの方に見てもらうかということを目指していたが、これからはそれが事実上不可能となる。

これからは演者と観客との距離は相当大きく離され、観客の方々も一定の距離を離されるよう促されるだろう。

これらはほんの一部で、これからは数え切れないほどのショースタイルの変化を余儀なくされる。

これにより大道芸人やパフォーマーに長い冬の時代が訪れるのは必至である(すでに真冬なのだが)。

僕の勝手な推測だが、これから4~5年、長ければ10数年は、これまで通りのパフォーマンス環境は戻ってこないと思う。

僕はどちらかというと淡々とショーを披露するのが好きな性分なので、路上の片隅で目の前に帽子を置き、楽しいと思ってくれた通行人の方に投げ銭をしてもらうというスタイルもいいなと思っている。

こんなことを書いておきながら、数年後の未来なんて全く想像もできない。

果たして数年後にこの文章を読んでいる自分は何をしているのか。

もしかしたら気が触れて、長く伸ばした髪に墨汁をつけて半紙に文字を書くパフォーマーになっているかもしれない。

そう考えると今後が少し愉しみでもある。

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